カンバーランド長老キリスト教会

東小金井教会説教

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  • 神の恵みに包まれて

    2023年1月1日
    詩編72:1~7、マタイによる福音書2:1~12
    関 伸子牧師

     礼拝から始まる新しい年の一日目を感謝します。先ほどお読みしたマタイ福音書の箇所は教会暦の上では、1月6日の顕現日(エピファニー)のテキストとして読まれてきました。顕現日を祝う慣習のない日本のプロテスタント教会では、クリスマスのテキストとして用いられ、そのために、美しいクリスマスのメルヘンのひとこまとして受け止められているように思います。しかし、この箇所は、単に幻想的な主イエスの誕生物語を伝えているものではなく、歴史に現れたナザレのイエスに出会うすべての者に、重大な問いを発しています。

     ここには、光と闇とが交差しています。闇はこの世の王や政治から出てきます。権力者の非人間的な行動が全く世界を暗くしています。イエスが生まれた時は「ヘロデ王の時代」です。その統治はローマ帝国の承認のもと、紀元前37年から紀元前4年にまで及ぶ。イエス誕生の舞台は、ユダヤのベツレヘムが指示されています。ベツレヘムとは「パンの家」という意味であり、エルサレム南方10キロの田園地帯にある小さな村です。

     マタイの物語は彩り豊かです。イエスが生まれ、博士たちがやってきます。闇の中に、神の救いの光が射し込んできます。「私たちは東方でその方の星を見たので、拝みに来たのです」(マタイ2:2)。この人々は「ユダヤ人の王」、幼子イエスを捜しています。ある時、彼らは奇妙な星を発見します。そして、それを観察し、分析した結果、どうやら、それは「救い主の誕生」を告げるしるしであることを突きとめます。問題はその後のことです。こうした結論をまとめ、報告書を作り、保管所にしまいこみ、さて一日の仕事を無事に終えて帰宅することもできたはずです。

     ところが不思議なことに、彼らはそうしませんでした。彼らはその星の情報に基づいて旅立ち、あえて自分の生活の場を離れ、遠く危険な旅に出発します。それは、博士たちはその星が自分たちに呼びかけられていると信じたからです。博士たちが見た星は、今、この時代の私たちにも呼びかけています。

     博士たちの予期せぬ訪問は権力者たちを不安にさせます。ヘロデ王は識者を招集し、彼らは、メシアはベツレヘムに生まれることになっているとヘロデに思い出させました。預言者ミカの言葉を引用しながら、マタイは、そこからメシアが生まれるゆえに、また、見かけの小ささにもかかわらず、ベツレヘムはイスラエルの町々の中で「いちばん小さいもの」ではないことを明言します。ミカ書のギリシア語版が「いと小さい」と言い表すために用いた言葉をマタイも用いています。一方、マタイ自身のテキストは、後に第25章で「最も小さい者」(40,45節)について語るために、この語を用いることになります。私たちはこの「最も小さい者」の中でイエスに出会うのです。貧しい人々や忘れられた人々は、ベツレヘムのようです。一見取るに足りないように思えますけれども、そこに主が、私たちのところに、来られるのだから、大切な存在なのです。イエス・キリストの福音は、この地上の最も小さい者に光をあて、それを「小さくない」というのです。貧しい者が豊かにされ、富んでいる者がむなしくされます。

     エルサレムを出発してベツレヘムに向かう占星術の博士たちは、故国で見た星を再び目にして喜びます。星の下では幼子が母マリアに抱かれています。この幼子こそ闇に輝く光です。彼らの喜びは幼子との出会いにおいて最高潮に達します。それは、真に「礼拝する」ことのできるものを発見し、身を「献げる」ものに出会うことのできた者の喜びです。

    人を生かす王に出会った彼らは、もはや人を殺す王のもとには戻らず「別の道を通って」帰途につきます。幼子との出会い、彼を礼拝することによって、占星術の博士たちは幼子が示す新しい道に向かって歩み始めたからです。彼らは、キリストと出会いたいと願うすべての人たちの代表です。確かに星は輝いています。

     現代における導きの星とは、一体何でしょう。まず、聖書が人々をイエス・キリストに導きます。さらに、聖霊が風のように思いのままに吹き、人々に救い主との出会いをもたらします。占星術の学者たちの歩みは、現代に生きる人間の人生のたどらなければならない道を指し示しています。一時の救いや幸福に引き回され、不安や憎しみを生み出すような人生を断ち切る。そして、メシアの星に導かれて、御言葉と聖霊に導かれ、救い主イエス・キリストのところへ行き、そこで真実の愛と永遠の救いを見出して喜びに溢れる。自分の人生の根拠をこの救い主の上に置く。

     私たちも博士たちのように星に導かれ、信じる道が開かれることを問われています。主を礼拝し、献身する態度を受け取って、新しい年、この世の闇の中で光を見つめながら、救いの道を選び取っていきたいと思います。祈ります。